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福島には、「まで」(または「までい」)という方言があります(三陸など東北の他県の一部にもあるようです)。「丁寧」とか「まじめ」とか「心を込めて」とか、そんな意味合いを形容する言葉です。地域によって違うかもしれませんが、郡山では、手作業や手仕事の丁寧さを指すような場合によく使われていると思います。

 

かつて、わたくしが仕事を受ける際に気にかけていたのは、「いかに単価の高い仕事を受けるか」でした。大きい仕事を受注したほうがえらくて、それを効率よく終わらせるのがプロだという意識がありました。特に広告の仕事を受けるようになってから、その思いは顕著になったような気がします。「まで」とはまるで対極の「やっつけ」が日常にさえなっていたと、いま振り返れば思います。

 

震災以降、ふるさとの人々と交流することが日に日に増え、その人々の仕事ぶりや、仕事に向き合う姿勢に触れる機会が多くありました。その姿勢を見る中で自分の心の中に蘇ってきたのが、「まで」という言葉でした。昔、家の畑仕事の手伝いをして、ばあさんに

「あんたはほんとに“まで”だない」

と言われたことを思い出しました。会社に名前をつけるならこの言葉しかないと思いました。

 

例えば、1本100万円のホームページ制作を機械的にこなすことと、1つ100円のおまんじゅうを1万人に売ること。結果は同じ100万円かもしれないけれど、ひとつひとつ売って積み上げた100万円には1万倍の「まで」が詰まっていて、そのさらに先の1万倍のみなさんへの「まで」につながる。そんな仕事をしたい。

高い仕事も安い仕事も、大きな会社の仕事も近所のおばあちゃんから頼まれた仕事も、そのひとつひとつを「までにやる」会社でありたい。

 

社名には、そんな思いを込めました。

 

マデニヤル株式会社は、までにやる会社です。

 

代表取締役 高橋晃浩